- タブレットPCの操作感覚 (00/12/17) - 

 MicrosoftがラスベガスのCOMDEX/Fallで発表した「タブレットPC」。コンセプトは新しく見えるけど、その操作感はどうなんだろか。 次世代ウィンドウズWhistlerを搭載すると言われるその中身は従来のパソコンを小さくしたようなモノで、相変わらず記憶媒体はHDD。各種パソコン雑誌では「ペンと紙に似た入力の簡易さ」とか「文字の移動や変換などがペンで簡単にできる」なんて言ってるけど、それは現在のPocketPCやPalmなんかと比べてのコト。Newtonの操作感にどれだけ近づくのか、それがボクの一番の関心。

「常に新製品を出し続けなければいけない」ってのがIT業界の命題だからか、この手の製品に関しては「これが完成品」ってのを見たことがない。製作側のこだわりが無さ過ぎるし、考えに考え抜いて「これでどうだっ」って気迫を感じる製品が少なすぎると思うんだ。
ボクはAppleフリークではないけど、Appleのほうが完成品を輩出してると思うね。

 タブレットPCを見ていて 面白いのは、かつて「大きすぎる」といわれて敬遠されていたMP2000のサイズに近づいてきているということ。やっとこの手の道具のマーケットが見えてきて、考え抜けばMessagePadの大きさになってくるってことなんだ。

まえに倶楽部Newtonで話題にしたことがあったと思うけど、Appleの(特にNewtonチームの)アプローチの仕方は演繹的でMicrosoftのアプローチは帰納的と言えるかもしれない。帰納法というのはザッと言えば三段論法に近い。演繹法は大局の中の共通 点を捜して方向性を見出すという方法論。ある意味、東洋的/西洋的とも言えるね。

つまりこういう事。「現在Aという技術があってBという技術が新出してきた。A+Bで新しい製品ができないだろうか」というのは帰納的な考え方。それに対して「本来どうあるべきかを生活レベルで考えて、それに見合った技術を採用(または開発)する」というのが演繹的な方法だと思う。コンピュータに限らず、そういう製品って長生きしてるよね。
ほんのチョット先しか見てないマーケティングじゃ金は稼げても、ヒトの気持ちはつかめないってことか。

往年の名車ビートルやトヨタのTE27をいまだに大事に乗り継いでいる人達がいるように、その質感やコンセプトに惚れ込んでしまえば チョットの不自由は「かわいさ」という次元になってしまうんだな。

 「惚れ込む」というのは感覚的なもので、とても理屈じゃ説明が足りない。「なんで今さらNewtonなんだ」って言われても「そいつがNewtonってもんだぜ」としか伝えようが無いんである。「ユーザーを含めた全部がNewtonというプラットフォーム」なわけで開発が凍結されようが、このプラットフォームは楽しいとしか言いようがないんである(笑)

- Newtonの2000年問題 (99/6/19) - 

2000年まで、あと半年ちょっとですね。世界が滅亡するまで、あと半月か(笑)

最近は仕事でもY2Kの確認レポートなんかを度々書かされてます。マイクロソフトがWindows用の巨大Y2Kパッチを配布したとかウワサで聞きますが、Newtonはどうなんだろね?

== 西暦2000年 ==

 NewtonのY2Kについては、このページが紹介してる。ざっと要約してみよう。

NewtonOSは当初から「1904年1月1日深夜からの分計」と「1993年1月1日深夜からの秒計」の2つで計算するように設計されている。これらの計算は2000年以降の日付にも適用される。2000年と言っても単に数値が大きくなるだけだ。従って、他のOSが抱えているような問題はNewtonOSには無い。その他にもNewtonOSは、次のような事を考慮している。

  • 2桁および4桁の入力と表示をサポートしている
  • 2桁の場合"00"以降の数値は2000年以降として扱われる
  • 2000年の2月29日を正常に判断する

 ま、とりあえずは安心だね。

== 西暦2010年 ==

 と、ところがぁ!

NewtonOSには2010年問題がある。こちらのページが参考になるね。

「秒計」は2010年以降は機能しない。NewtonScriptで扱う整数の値は30ビットの符号付き数値だが、1993年から「2の29乗」秒 経過したたのが2010年だからだ。

2010年。それは「秒の世界」の終点なのである。

さらに2100年になると一部のプログラムが閏年を正確に判断せずにオカシナ動きをすると考えられる。

Avi's Backdrop で有名な Avi Drissmanがこの問題を直すパッチ(Fix2010)を公開してるんだけど、このパッチは作者本人もお奨めしてないようだ。どんな仕組みで直そうとしてるんだろか?

つまりNewtonの時間システムは17年の寿命を持っていて、17年目以降はゼロに戻って同じ秒を繰り返す事になる。そこで私は "Hexade"というのを考えた。これは16年をひと固まりとした単位で、Hexade-0が1993〜2009年、Hexade-1が2009年以降の16年といった感じだ。これでNewtonScriptのTime関数にパッチを当てる。Time関数の中で現在のHexadeを読みとり、現在時刻を変換する。

ん? それで対処できるのかなぁ。という疑問が残るが、

AddAlarm / AddAlarmInSeconds / DateFromSeconds / GetAlarm / SetTime / SetTimeInSeconds / Time / TimeInSeconds / TimeInSecondsToTime / TimeToTimeInSeconds / TotalSeconds

といった関数の一部にパッチを当てて、一応機能しているらしい。

== 西暦2920年 ==

 こんどは「分計」のほうだ。

Newtonの時間システムは2920年で破綻する。君たちも死んでいるだろう。

言われてみれば、心配するような事じゃないね。これは (^^;; Newtonを形見として子孫に残すんじゃなければ、2100年も気にすることないね。

== 結論としては ==

 2010年までは安心して使えるから、気にすることない。2010年になって何か動作がオカシクなったらFix2010を使ってみようと思ってる。

あ、そうそう Avi Drissmanからの注意があったんだ (^^)

Fix2010は非常に実験的なパッチだ。高電圧線を触るように注意して扱うこと。もし何か起きたらAviに知らせてくれ。あ、それと子供の手の届く所に置いちゃダメだよ(笑)

 

 

- Newtonはフィールドで生きる (99/5/30) - 

 Newtonがディスコンになってから各種PDAが新出してますが、Newtonは今になってデスクトップとのリンクがホットになってますね。岡部さんがパッチを作ったOutLinkもWindowsのOutLook97/98とNewtonのデータをシンクロさせるソフトだし、ナイスガイ稲見さんのLincプロジェクトもそうだよね。こういうのがあるとキャプチャーした情報を仕事で使いやすくなるんだよね。

 いわゆるPDAがPCとリンクするのは「PCのデータを持ち運ぶ」ってところがメインの利用法だと思うけど、Newtonの場合は「NewtonでキャプチャーしたデータをPCを通 して利用する」というほうが自然なんじゃないかとボクは思ってる。

 ボクは出張が多いのでフィールドで得た情報をどんどんNewtonに貯め込みます。スケジュールを何度もコマメに変更しながら、空いた時間を捻出していく。移動プランも何パターンかDatesに書き込んどいて、作業終了時間から間に合う方法を選択できるようにしておく。間に合わないようならミーティングアイコンをドラッグして移動終了時間を算出する。

ToDoも瞬時にキャプチャーしたいので、英単語やローマ字で入力してます(この辺がちょっとツライね)。メールを受けるのはi-mail、フィールドからメールを送るのにはSketchMailを使って手書き情報を利用してます。

 事ほど左様にボクはNewtonをマネージャ代わりに使ってるんですが、そういう小回りを受け付けてくれるのは、今のところNewtonしかないのかもしれない。

たとえば今、WinCEパームサイズのカラー液晶版が出てますね。動画やMP3再生ができる「ウォークマン」的な使い方を紹介してたけど、これも「PCからのダウンロード的使い方」だね。そういう使い方がメインの人にはPDAは何でもいいのかもしれないね。

 

 

- Newtonにこだわる (99/5/30) - 

 昨今話題の中心は携帯情報端末だ。それをPDAと総称する人達もいる。まぁ、呼び方はどうでもよくて、ボクは未だにNewtonにしか興味がない。一体なぜなんだろう?

Newtonの事を考える時、ボクはまずシンプルさがいかに大事かという事を考える。

 たとえば格闘技。現在のコンピュータ業界に負けないぐらい、格闘の流派は多い。その中でも最近ウケているのがアルティメットと呼ばれる「何でもあり」の格闘術だ。突き蹴り、寝技、間接技、締め技、それに目への攻撃や金的狙いも許している。倒れた相手にまたがって顔を殴り続けても良い。

「何でもあり」一見強そうに見える。実際、たしかに強い。競技としては見ている方も面 白いだろうね、バイオレンス映画を見てるみたいで。でも、それには「強さ」以外の価値がない。

一方で攻撃を限定したために進化した格闘技もある。たとえばボクの所属する極眞会では、まず突きと蹴りに攻防を限定する。そして、そのために必要な稽古を繰り返し行っていく。

誤解されがちだが、攻撃を限定したといっても、一般稽古での約束練習の時だけで、実際には寝技や間接技など、あらゆる事態を想定した稽古や護身術なども行っている

技を限定する事により学ぶ者は、稽古の中にあるイメージに集中することができる。技を機械的にマニュアル通 りに繰り返すのではなく「突く」という動作を細かく分析し、

  • 技が「効く」というのは、どういうことなのか
  • 自分のどこで相手のどこを突くのが効果的なのか
  • 相手との間合いは、どうあるべきなのか
  • そのために自分は、どう動くべきなのか
  • 素早い動きのために、自分の重心はどこにあるべきなのか
  • そのためには、どのように呼吸するべきなのか

といったイメージトレーニングをすることができる。つまり「突く、蹴る」という単純動作を手掛かりに動作の主要素である「重心と呼吸のコントロール」といった本質的な事を考えるようになる。さらに稽古が進むと「自分の重心を把握する」技が「組織の重心、集団の意見の重心」を読み取る方法論に発展するだろうし、「呼吸の調整」を利用して自分の感情や集中力を調整することが、ある程度可能になる。

そしてついには、争わずに済む方法を考えるようになる。格闘技が格闘術になり、兵法となって武道にたどり着く。そこには極限まで無駄 をなくし自分をコントロールし切った、美しい動きがある。

 まぁ、そこまで大袈裟ではないけど、Newtonのシンプルさは本質をついてる。ボクのように出張が多い人間の、フィールド・ワークの重心や呼吸を知っている。これはNewtonエンジニア達が「Newton道」とでも言えるような(笑)イメージトレーニングをした結果 だと思う。Newtonを触っていて良く感じるのは「的を得た無駄のない動き」だね。ここまで小気味いいのは、他にない。

 もう一つ言えるのは、Newtonを触る事によって「コンピュータの在り方」みたいな事を考えるキッカケになっているということ。Newtonを実際に自分のために使う事によって、ホントに必要な物って何なのか、それを模索してるということでもある。

キーワードは長期に渡って1つの物を使い続ける、ということ。

ひとつの物に精通すれば、よく似た物は差分で比較できる。「Newtonとは、ここが違う」と分かれば、それが必要な機能か不要なのかを判断するのは簡単。だって毎日使ってるんだから。

差分で比較できるというのは、バランス感覚でもある。混沌としたコンピュータ業界の中で、自分の基準を持つというのは大切な事だ。Newtonという基準があれば、踊らされずに済む。その基準が陳腐な物だと長持ちしないけどNewtonは、まだまだ使える。少なくともボクのニーズには答えてくれている。

ユーザーとして、開発者として、ボクはNewtonという鏡を通して色々な物を見ている。少なくとも、かつての「理想」から生まれたNewtonだから、基準にする価値はあるんじゃないだろうか。

 

 

 

- 文字認識の壁 (99/4/17) - 

 AppleのAdvanced Technology Group(現Apple Research Lab.)でNewtonの手書き文字認識開発のリーダーとして活躍したLarry Yaeger氏が自分のホームページで、この認識技術についての論文を公開している。PDF形式で提供されてるので興味のある人は見てみたらいいかも。

ざっと認識システムの概要を見てみよう。

Apple's print recognizer (APR) consists of three conceptual stages Tentative Segmentation, Classification, and Context-Driven Search as indicated in Figure 1. The primary data upon which we operate are simple sequences of (x,y) coordinate pairs, plus pen-up/down information, thus defining stroke primitives. The Segmentation stagedecides which strokes will be combined to produce segments the tentative groupings of strokes that will be treated as possible characters and produces a sequence of these segments together with legal transitions between them.

This process builds an implicit graph which is then labeled in the Classification stage and examined for a maximum likelihood interpretation in the Search stage. The Classification stage evaluates each segment using the ANN classifier, and produces a vector of output activations that are used as letter-class probabilities. The Search stage then uses these class probabilities together with models of lexical and geometric context to find the N most likely word or sentence hypotheses. (論文の一部を抜粋)

 この説明によると認識には3段階あって、

1.点の集合とペンの上げ下げの情報から1文字となるべき単位を切り出す処理(セグメンテーション)

2.点情報を文字として認識し、文字の候補を挙げる処理(Artificial Neural Network "ANN")

3.文字候補に、辞書の単語や文字の位置関係を照らし合わせて、一番それらしい単語やセンテンスを決定する処理(コンテキスト検索)

これらの技術が連携して働く事によって、適切な単語認識が成されてるわけなんだね。詳細な内容は読み進めてみないと分からないけど、コンテキスト検索なんて興味津々なのだ (^^)

 ClubNewtonで昨年からPencilの進歩が止まってるのには実はわけがあって、あちこちと勉強はしてるんだけど、これといったブレークスルーが無い。この論文をキッカケに何か新しいアイデアを考えてみたいッスね。

さてPencilにとって致命的なのは1番目の項目、セグメンテーション。つまり平仮名1文字の区切りをどう判断するかって事。これが出来ないばかりに、PencilではInkTextを使うハメになってる。

InkTextで平仮名がバラバラになる→Pencilが誤認識する→修正が手間取る→Pencil使わない

という図式になってんだなぁ。

たとえばSketchモードで自由に書いても、それが後から平仮名テキスト文字に変換できるとすれば便利だよね。E漢字と連携すれば平仮名スケッチ文字から直に漢字に変換することもできるかも。でも実際には「どこまでが1文字なのか」を判断するのは非常にムズかしい。だからマス目に書いたり、InkText扱いで1文字の区切りを作ったりしてる。

論文では "dog" という単語が例に挙がってるね。 "dog" って書き方によっては "clog" や "cbg" と判断することもできるわけ。平仮名にも同じようなケースがあって、「に」が「しこ」に見えるかもしれない。これをどう判断するか。

これができれば、Pencilはもう一歩進むかもしれないな。

 

 

- 絵メール復活 大作戦 (99/2/22) - 

 その昔、Newton Mailというサービスがあったようです。1996年のeWorldサービスの終了と同時にNewton Mailも使えなくなり「絵メール」という名前で親しまれていたスケッチのやりとりができなくなりました。

とはいえ、現在でもNewtonからNewtonへi-mailを使ってメールを送ればNotesに書いたスケッチを送受信することができます。これはi-mailがNewtonのフレームを添付データとして送ることができるからなんです。今年の正月にもNewtonで年賀メールをやりとりしてた人達がいましたよね。

大雑把に言うとNewton内では全てのデータがフレームという形で保存されていて、i-mailはこのフレームをその形のままNtFという識別 子のデータとしてメールに添付してくれています。だから相手がNewtonなら、送られて来たフレームをそのまま受け入れる事ができるわけです。

i-mailのお陰でNewton同士であれば絵メールがまた楽しめるようになったんですが、ここでまた事件が起きました。御存知、Newtonのディスコンです。

Newtonが手に入らなくなった、ということは絵メールを送る相手が限定されるということです。そこで考えたのがデスクトップPCへ絵を転送するという方法です。

スケッチモードで描いた文字をGIFに変換してメールに添付すると。

これだと、Newtonからすぐにメールが送れるわけです。しかも日本語文字入力が必要ない。英語圏の人達がNewtonにサラサラと文章を書いて、メールを送信している快感を日本人の僕達も体験したいではないですか!ノートにスケッチを描いて Shrinkで適度に縮小してメールする。

まぁデジタルの利点である「データの使いまわし」という点では、イマイチなんですけどね。お絵描きツールが無いと、部分引用できないし(苦笑)

 先日、C言語で書いたGIF変換ルーチンがやっと完成しました。当初、変換の簡単なBMPで考えていたんですが表示できないメーラーがあったのと、GIFのほうが一般 的かな?という事でGIFにしました。

スケッチデータを操作するロジックはShrinkですでに実現してますから、GIF変換ルーチンをNewtonに移植してメールに添付してやれば良いのですが、Newtonで扱うためにはVBOの勉強もしなくちゃね。という事でボチボチ進めてます。i-mailとの連携になる予定です。

色々とアイデアがあったら教えてくださいね。

 

 

- 情報のキャプチャ (99/2/15) - 

 Notesにスケッチでメモを書きだすと、どうも画面が狭く感じます。メモを採ってて良く使うのは縦方向のスクロール。でもこのスクロールがクセ者なのだ。

画面上の小さなスクロールボタンを押してスクロールさせるのは、面 倒だと前から思ってた。ペンが使えるのならペンで紙をめくるように動かせばいいんじゃないか、ってね。

メモ中のスクロールは、やっぱり気が散る。メモを採っている時は

  • 相手の言うことを聞いて
  • 自分なりに解釈し
  • 簡潔な表現で
  • すばやく描き記していく

この繰り返し。

スクロールの分だけ、明らかに紙の手帳に負けてる。ビジネスの相手とは話し続けてるんだから、ボタンにペンを合わせてる場合じゃない (^^;;

 Newtonは情報のキャプチャ(収集)能力に特徴があると思う。Newtonのコンセプトとして

情報の Capture / Organize / Communicate

というのがあるんだけど、他の携帯情報端末では どちらかと言うと

情報の Input / Browse / Synchronize

って感じ。この単語を見てピンと来るのはNewtonのコンセプトは非常に現場寄りだということ。 

 携帯情報端末と言われる物は、情報社会の文字どおり「端っこ」で活躍する機械で、どれでも同じ風に見える。でも実際は「情報を作る側」の端っこなのか「使う側」の端っこなのかで大きな違いがあると思う。

Newtonの能動的イメージは "Capture" という単語に見てとれる。今あるデータを "Input" するのではなく、今ここで起こっている事をキャプチャするというライブ感。それがNewtonを使う最大の魅力でもある。警察、軍隊それに工事現場でNewtonが使われているのは、このライブ感あっての事だろうね。

「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」(in "踊る大捜査線")

 ところが残念な事に、日本でのNewtonはスケッチモードでしか、このキャプチャの魅力を発揮する事ができていない。だから、情報の流れでその下流に位 置する "Organize" や "Communicate" との連携が英語圏ほどは活きてこない。

「他の携帯情報端末と、どう違うの?」と訊ねられても答えに窮してしまうのは、案外この辺が原因かもしれないなぁ、というのがボクの思い。日本ではNewtonのコンセプトが生かし切れていないのか?

情報のキャプチャを支援し、Newtonの魅力・実力を引き出せるような工夫ができないかなぁ、って事で今いろいろと考えてます。今年のキーワードは "Capture" かな。

 

 

 

- タッチの差 (99/2/3) - 

 PhilipsのNinoをしばらく使ってみた。MP130に似たスタイリッシュなフォルムにWindowsCEを搭載したこのマシンは、その小ささも相まってナカナカに可愛い。動作もキビキビとしていて、こんなNewtonもあればいいなぁ、と第一印象で思った。

さて、NinoにはsmArtWriterという手書き認識プログラムが付属している。ジェスチャーもフォローしていてNewtonを使ったことのない人達には好評のようなんだけど、タッチがとても不自然。「タッチ」という表現しかできないのが申し訳ない (^^;; 非常に感覚的な話だけど、Newtonを使ってる人なら同じ感想を抱くはず。

Newtonでは自然に感じていた事に、Ninoを触ってると気が付く。これは製品仕様にも取扱い説明書にも出てこない、些細な事が多いみたいだ。

紙に文字を書く時には「何を」書くかは意識しても「どこに」書くかは意識しない場合がある。人間は、その2つの事を同時にやってるわけだね。

たとえばNewtonにはカレットがあるけど、そこに書かなければいけないわけではなくて、カレット以外の所に書き込んでも、Newtonは「これを」「ここに」書いたんだと判断してくれる。カレットの近くに書けばカレットの位 置に文字を置いてくれる。このファジーな所が人間の感覚に近い。

Datesが良い例で、画面のどこに書いてもその場所にキチンとミーティングを作ってくれる。人間について来てくれる。

Ninoの方は、もう少しコンピュータっぽい。

まず「これから、ここに書くんだよ」とタップしておいてから、おもむろに書込まなくちゃいけない。smArtWriter自体がOSの機能ではなくてアドオンの入力メソッドだから、入力位 置を決定するチカラを持っていないんだ。

つまりsmArtWriterはコンピュータと人間の仲立ちをしてくれてるんだけど、どちらかと言うとコンピュータの都合に合わせる奴なんだよね。「お、こいつ機械の都合で動きやがったな」と感じる部分がある。

こういった「タッチ」の違いが随所に表れてくる。

プログラマーであるボクはコンピュータの傲慢(ごうまん)さに日々接してるわけで、結構コンピュータの無礼さには慣れてるつもりだけど、だからこそ人間にやさしい物に会った時に気づくのかもしれない。Newtonは製品化されてからの歴史は浅いけど、その研究に費やされた時間は長い。その間にタッチを練り上げたんだと思う。

旨い酒や、こういった「タッチ」は寝かせないと育たないものなのかもしれないね。

 

 

- 道具とオモチャの境界線 (98/11/15) - 

ボクは007が好きで(というか007に登場するQが好きで)毎回出てくる007グッズのファンなんですが、共通 しているのは「普通の道具がスゴイ機能を持っている」ってところ。しかも、その道具はスタイリッシュ。ここが美学ですなぁ (^^)

つまり機能を前面に出さないわけで「私、脱いだらスゴイんです」ってやつです(笑)

たとえばビジネスマンが、普通に持ってる道具が凄い機能を持ってたらグッときますよね。いかにもモバイル(?)な道具だと、子供じみてて嫌なんです。

 男ってのは、いくつになってもオモチャが欲しいもんです。ところがお父さんになると、体面 があるからオモチャが買えない。だから「これはビジネスの道具なんだ」と大義名分が成り立つザウルスなんかが人気なんでしょうね。

ビジネスマンといえば、システム手帳。

最近、革の財布を改造してMP2K用のケースを作ったんですが、これがなかなかオシャレで"普通 の"手帳に見えるところが気に入ってます。

そんな"普通の"システム手帳に電話機能が付いてたら、どうですか?

・手帳を開いて "Call hashimoto"でダイアル

・手帳を机に置く

・相手が出たら、手ブラで会話

・録音ボタンをタップして、会話を録音

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・電話が鳴ったら、手帳を開いて受ける

・手ブラで会話

・そのままでメモを採れる体勢になっている

そんな手帳があったら便利ですよね。インターフォンのようだから、ヘッドセットをして会話するよりも自然だし(周囲に聞かれたくない話題の場合はイヤホンを付ければいい)

電話が鳴ったらカバンから携帯電話を探すんじゃなくて、おもむろに手帳を開く。うー、Newtonっぽくて、なんだかカッコ良いぞ!

技術的には、PCカードドライバーさえ作れば今のMP2Kでそんな事も可能だと思う。というかNewtonテクノロジーっていうのは、そういう使い方を想定している物だと思います。

こんな事を考え出すと、Newton開発チームっていろんな事を考えていたんだなぁって思いますね。Newtonのどの部分にも、どの形にも、考え抜かれた意味付けがあるんだろうなぁって。"手帳電話"にしても現在のNewtonの考え方そのままで通 用するし、筐体の裏面にも意味ありげな穴がいくつも空いてるし。

一時期「MP2Kは重い」ってのが決まり文句になってたけど、Newton開発チームは人間を深く考えてたんだと思います。「人間は慣れるもんだ」っていうところまでね(笑)。

ま、それは冗談として、MP2Kをビジネスの道具として使おうと思うと、この大きさは絶妙。重さも大きさもシステム手帳と変わらないし、必要な情報を一覧できる画面 の大きさを持ってる。

MP2Kは「技術が進んだから、この大きさになった」ではなくて「使い方を考えたらこの大きさでないと駄 目だった」という方法論をとっているんじゃないだろか(電池の重さは技術的にクリアできなかったから、バランスを優先したという感じがするけど)

ビジネスマンは雑誌のオマケみたいな小さな手帳を使わずに、システム手帳を使ってますが、それは何故なんだろう?あの大きさには、どんな意味があるんだろう?

そういう事を考えると、逆にNewtonの事が分かってくるような気がする。

 

 

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